後悔しない「終活」のやり方〜よい「終わり」を迎えるために

相続の基本的な仕組みについて~法定相続人と基礎控除~

「相続」という言葉自体は、日ごろ暮らしていても聞くことがある言葉でしょう。でも、具体的にはどんなことを言うのか、正しい定義はご存知ですか?大まかに言えば、「誰か人が亡くなったときに、その人が有している財産や負債を、その人の子供や妻など一定の地位にある人が受け継ぐこと」ということです。世間話で「じいちゃんが亡くなって親父が貯金をもらった」などという話を聞いたことがあるかもしれません。

これは相続に該当します。では、相続について知っておきたいことをまとめていきましょう。まず、「誰が相続をすることができるのか」ということです。これは民法という法律で決められています。「法律で定められた相続人」という意味で「法定相続人」といいます。では、どういう人がこの法定相続人になれるか、ということを説明しましょう。まず、亡くなった人(被相続人)の配偶者(妻もしくは夫)は常に相続人となります。

それ以外の人たちがどうなるか説明しましょう。実は法律で順位付けがされています。順位が高い人ほど優先的に相続ができる、ということです。被相続人の子供が第一順位となります。第二順位は被相続人の父母、もしくは祖父母です。第三順位は被相続人の兄弟となります。法律ではこれらの人しか相続人になれないことになっています。そのため、これ以外の人に相続させたい場合には、遺言状を書かなければいけないことになります。

また、遺言状で特定の法定相続人の相続分をゼロにしたとしても、法定相続人には最低限もらうことができる財産の取り分があります。これを「遺留分」といいます。遺言状を書くときは、この点に注意しましょう。また、法定相続分とは異なる遺産の分配になったとしても、相続人全員が納得すればそのわけ方で通ってしまうことになります。これを難しい言葉でいうと、「遺産分割協議に合意する」といいます。

弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの専門職の方がこういうことを言ったら「あ、話し合いに納得するということなのだな」ととらえましょう。次に、最低限覚えておきたいもう一つの知識についてお話しましょう。相続により財産を取得すると、金額によっては、「相続税」という税金がかかってきます。もちろん、誰にでもかかるわけではなく、一定の金額以上の財産がある場合にかかる税金です。

「基礎控除額」といって、「ここまでなら税金がかかりませんよ」という基準の金額があります。では、その「基礎控除額」はどうやって求めるのでしょうか?実を言うと、平成27年1月1日から新しい相続税法が適用されるため、従来とは求め方が変わります。従来は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」で計算されました。しかし、平成27年からは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されることになります。

法定相続人が1人だった場合、従来の計算では「5,000万円+1,000万円×1=6,000万円」までなら相続税がかからないことになりました。しかし、改正後は「3,000万円+600万円×1=3,600万円」と相続税がかかるラインが低くなっています。どうやら、相続税が一部のお金持ちだけのものではなくなってきている、ということはお分かりいただけたと思います。