遺言を残す場合に注意することは?

この文章を読んでいるたいていの人は、遺言書を書いたことはない人かもしれません。むしろ、「そんなこと、考えたことすらなかった」という人もたくさんいらっしゃるでしょう。そのため、「どういう遺言書なら遺族がもめなくて済むのか=どういう遺言書なら遺族がもめる可能性があるのか」ということなんてわかるはずもありません。そこで、「こういう遺言書だともめる」というポイントをいくつかご紹介していきます。

1.表現があいまい
たとえば、Aという家族に遺産を全部相続させたいとします。この場合、どうやって書けばいいのでしょうか。正解は「すべての財産をAに相続させる」です。この文章の場合、「相続させる財産の範囲」と「相続させる人」が明確になっているので、遺言状としてはもめないのです。では、逆にもめる書き方はどんなものでしょうか。「~はAに相続させるのが望ましい」などのあいまいな書き方はもめる原因になります。いくらAに相続させたいとしても、Aに相続させる、と断定していないので、よく言えば話し合い、悪く言えば言い争いの余地があるからです。

2.財産が特定しにくい
一つの銀行に複数の口座を持っている、ということは決して珍しいことではありません。また、土地などの相続させるべき財産が複数にわたる、ということもありえない話ではありません。そんな状況で「土地はAに相続させる」「○○銀行の口座はBに相続させる」なんて書き方をしてしまうと、何が起こるでしょうか?「いったいどこの土地を相続させるのか」「いったい銀行のどの口座を相続させるのか」ともめることになってしまいます。これを回避するためには、土地の住所や口座番号など、財産が特定できる情報を遺言状に盛り込んでおくことが必要となってきます。

3.持分の指定がない
家などの不動産を複数の人間で相続する、という形で相続させる場合、それぞれの持分を明らかにしておく必要があります。この手続きを省略してしまうと、相続税の計算の基礎となる財産の金額がわからないなどのトラブルに発展する可能性もあるからです。持分を指定する場合は、「~の土地のうち、3分の1をAに、3分の2をBに相続させる」というように、具体的に数字を示すことが必要となります。

4.相続させたい財産がすべて網羅されていない
あなたは、今、自分が持っているもののなかで、相続の対象になる財産がどれだけあるか正確に把握していますか?もし、自分が亡くなった後に遺言状に書いていない財産が出てきたとします。それを遺族が相続するには、遺産分割協議に応じなければいけません。いいかえれば、話し合いをしなければいけないということです。この話し合いが決裂して親族同士のトラブルに発展することもあります。全部把握するのは難しいですが、一度自分が持っているものをきちんと見直してみましょう。

5.借金があることを隠していた
「誰にでも秘密はある」よく言われる言葉です。人には言えない借金だって、長く生きていればあっても当然かもしれません。しかし、遺言状との関係で言えば、これは秘密にしないほうがいいはずです。相続は貯金、土地などの「プラスの遺産」だけでなく、借金などの「マイナスの遺産」も引き継ぐということです。とはいえ、遺言書で借金の存在がわかっていれば、相続人は限定承認や相続放棄などの対処ができます。秘密にしたい気持ちはあるとは思いますが、隠し通すのもやめましょう。

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