後悔しない「終活」のやり方〜よい「終わり」を迎えるために

エンディングノートの保存に関する注意点

エンディングノー+トを作る重要性については、お話したとおりです。でも、「いざ、というとき」、言いにくい言い方で言うと、「あなたが天に召されたとき」こそ、エンディングノートは役に立つ、と思いませんか?もちろん、天に召されたときのみならず、病気で意識が戻らないときや、痴呆症や脳疾患など、ちゃんとした言葉でのやりとりが困難になる病気になったときにも、もちろん役に立ちます。

しかし、ここには一つ、前提条件があるのです。それは、何だと思いますか?「誰かがエンディングノートを発見してくれること」です。たとえば、こんなケースを考えてみましょう。誰にもエンディングノートの存在を知らせず、あなたが天に召されてしまったとします。そして、四十九日も過ぎたころ、ご遺族が遺品を整理していたらエンディングノートを見つけました。

さて、このとき、果たしてエンディングノートは役に立った、と言えるでしょうか。答えはもちろん「ノー」です。偶然、葬儀やその後の処遇があなたの希望通りだったならまだ救いはありますが、あなたの希望とぜんぜん違うやり方で葬儀などを執り行ってしまった場合は、遺族はショックを隠せないに違いありません。「こんなこと考えていたんだったら、そうしてあげればよかった」と誰もが思うことでしょう。

そこで、大前提として、「エンディングノートを書いている」ということを、家族の誰かには知らせておく必要があります。もちろん、エンディングノートに書かれる内容には、とてもデリケートなことが多いです。預金口座の情報などのお金が絡んでくるものから、面と向かっては言いにくい感謝の言葉まで、「できれば自分が元気なときにはあまり見られたくない」情報がてんこ盛りです。

そのため、おおっぴらにしにくいのが現実ですが、先ほどの例からもわかるように、「誰にも知られていない」のはあまりに危険です。信頼できる誰かにその存在は知らせておくといいでしょう。大まかな保管場所も伝え、「自分にもしものことがあったら、これを見て動いてね」と一言お願いするといいかもしれません。そして、もう一つ皆さんにご提案したいことがあります。

それは、「エンディングノートに書いた情報を補完する情報も一緒に置いておく」ということです。今はインターネットが普及したことにより、さまざまな情報を簡単に手に入れることができるようになりました。また、専門家の無料相談を受けるのも、昔に比べればずいぶんと敷居の低いことになりました。

エンディングノートを書いていくうちに、「私の葬儀はこうしてほしい」「まだお墓を買っていないから、ここの墓地にしてほしい」など、自分の処遇について色々な希望をお持ちになる方は多いと思います。そのとき、それを補完する資料があれば、残された人はどれだけ行動しやすくなるでしょうか?答えは明らかですよね。人が天に召される、というのは、それだけでもものすごいストレスです。

その中で次々と葬儀や法要などの行事をこなしていかなければいけないのだから、生前に決めてあることが多ければ多いほど、遺族は助かるはずなのです。「どうしてあげればよかったのかがわからない」ことほど、遺族を苦しめるものはない、といっていいでしょう。だからこそ、エンディングノートとそれを補完する情報を集めておき、その存在を誰かに知らせておくことは、残される人たちへの配慮ともいえます。