後悔しない「終活」のやり方〜よい「終わり」を迎えるために

葬儀に備えてやっておくべきこと~生前予約について~

ある程度の年齢になってくると、親族や友人、会社関連の人の葬儀に出席する機会も増えてきます。そのときに、こんなぼんやりした不安を感じたことはありませんか?「自分のお葬式はどうなってしまうのだろう?」と。「予算のことが不安」「そもそも何を準備したらいいかわからない」そんな人がほとんどなのも当たり前です。

「自分のお葬式」なんて一生に一度しかないのですから。ましてや、自分が亡くなった場合、残された人は葬儀の準備以外にもやらなければいけないことが本当にたくさんあります。体がいくらあっても足りない、というのが現実でしょう。そんな中で葬儀社と相談してよくわからないままプランを決めてしまい、「納得がいかない」と後で思うような葬儀になってしまった、という話は珍しいことではないようです。

このような現実を反映してか、最近では「生前予約」といって、生きているうちに葬儀社などと相談して、自分のお葬式の詳細を決めておく、ということがはやっています。日本では「生きているうちに自分が死んだときのことを考えるのは縁起が悪い」という風潮があったせいか、今までこのような動きはありませんでした。

しかし、最近では、「残された家族に迷惑をかけたくない」と、生きているうちに葬儀社と相談して、自分の葬儀の内容を決めておく、という人が増えてきているのです。では、生前にどんなことを決めておけば、残された人は困らなくて済むのでしょうか。まず、大事なのが「予算」です。日本消費者協会が葬儀の予算についてのアンケートを行ったところ、平均して約190万円(2013年)程度かかっていた、というデータがあります。

安い車だったら1台買えてしまうほどの値段です。「人生最後のお買い物」にしては、決して安いものではない、ということがお分かりいただけるでしょう。では、何がこの予算を左右するのでしょうか?ポイントは「葬儀の形式」です。昔ながらの、家族、親族に加えて友人や仕事関係の知人などさまざまな人に参列してもらう葬儀を「一般葬」といいます。

これに対して、家族、もしくは家族と親しい親族だけで行う葬儀を「家族層」といいます。さらに最近では、お通夜を行わず告別式だけを行う「一日葬」や、お通夜も告別式も行わない「直奏」という形式も出てきています。参列する人が少なくなればなるほど、葬儀の予算は少なくなる、と覚えておけばいいでしょう。

こういった形式の中から、自分は何を望むのか、ということをまずは明らかにしましょう。そこから、「参列客に料理を振舞う場合、どの程度の料理にしてほしいのか」「どの範囲の人までに葬儀に参列して欲しいのか」と細かいことを決めていくことができます。しかし、注意してほしいことがひとつあります。それは、「残される人の気持ちを考える」ということです。

自分自身は簡素な葬儀を望んでいたとしても、残される人からすれば「ゆっくりお別れを言う時間がほしかった」と思われてしまう可能性があります。生前予約をする際には、自分一人ですべてを決めるのではなく、残される家族などの意見も含めて決めることが求められます。